Sculptor Eiji Nitahara

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「クルスの三つの詩」

花くるす

花クルス

花クルス

丘の上

蝉まどろむ

紫の影深く

蔦の葉まつらう

 

群青の空

いにしえに逆らうことなく

黄金の雲 はや

茜色をやどしたり

クルスの傍ら

人影たたずむ

 

三つの溜め息

詞(こと)の葉をのみ

永劫の時を拍つ

潮の香 西に立ち昇り

白き水鳥は

黄金の雲に立ち向かう

 

花クルス

花クルス

今日も又

聴かざるや潮の音を

見ざるや海の顔を

抒庵

 

浜クルス

浜クルス

浜クルス

潮騒の浜に

たゆたう

黒き影は

白州を貫き

深紅の波は

浜辺をあらう

幼き童達は

無心に貝を攫い(さらい)

夕餉の煙

入江に流る

根獅子・・・

何故に安らに暮れゆく

今日もまた

深紅の波は

海と空を洗い

無窮の頂きに

黄金の星を鏤(ちりばめ)る

浜クルス

浜クルス

聴かざる潮の音を

見ざるや童達のたわむれを

抒庵

                

島クルス

島クルス

島クルス

静かなる

海の上に安らう

いにしえより

殉教の島々の

真中に在りて

穢れなき

処女マリアの

心を宿す

隠れ道

蟹たわむれ

巡る路

女郎蜘蛛

陰を待つ

漁火(いさりび)は

島影に満ち

殉教の魂

夜潮にたゆたう

朝もやの祈り

幼な児ら

ひざまずき

クルスに向かう

背を屈めし老女の和唱

白きヴェールに流れ

七色の光彩

御堂に満つ

島クルス

島クルス

聞かざるや

きょうも又

島に満ちたる

クルスの唱を

見ざるや

夜空に映す

クルスの影を       

抒庵

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彫刻家二田原英二公式ホームページ