僕は此の世に何かを見るためにやってきたらしい。そして沢山の物を見てきた。だが未だ見えない大きなものが一つある。だんだんそんな気画して来る。それは見られようと時折近くまで訪れているようだが・・・
僕は、確か何かを見るために此の世にやって来た。窓は開かれている。だが見えてこない。僕の彫刻の営為はそのための窓であるらしい。外では美しい韻が流れている。
若しかして僕はずっと昔、僕が此の世に現れる前に、あの方にお会いしていたのかも知れない。あの方が妙なる韻であった頃。心のどこかにそんなかすかな余韻の跡があるらしい。