ギリシャの古典美術を想う時、ヴィンケルマンが語る「高貴なる単純さと静かなる偉大さ」は確かにアクロポリスのパルテノン神殿やフェイデイアスの彫像群を語る言葉として適切と思える。加えて僕はそこにF.ニィ―チエの次の言葉を加えたいと思う。「ギリシャ人はその全存在が苦悩と認識の覆い隠された基礎の上に、あらゆる美と節度をもって極めて独特にも苦悩する能力を具えた民族である」と。
人間の真実に出発し遂に無比なる美的表象に達した古代ギリシャ人とは何者であったのだろうか・・・。
抒庵